吐く息が白くなる季節になって参りました。
平安会館　中村斎場の松永です。

青空が広がる秋の日、かけがえのないひとつの命が
その尊き生涯に幕を降ろされました。

仕事を退職してから旦那様と一緒に始めたカラオケ。
最初は、

「人前で歌うなんて…」

と握られたマイクも、
今では毎月の発表会に向けて足繁く教室に通い、練習に励まれていたそうです。

そんなカラオケで知り合った方々も大勢いらっしゃいました。

忙しい中駆けつけてくださった方。
仕事着のまま急いで来てくださった方。
化粧をしてあげたいと口紅を持って来て下さった方。

また一緒に歌えると思っていたのに…と

もう一度　時間を巻き戻し

あなたに　あなたに　逢いたい
　
　　　　　　　　　　　　『イエスタディにつつまれて(塩乃華織)』

「次の発表会では、白いドレスを着てこの曲を歌うの」

気に入ったドレスを自分で買いに行き、そのドレスに合った曲を歌う。
そんな選曲スタイルは、ご友人方の中でも良く知られていたそうです。

残念ながら、白いドレスを着てこの曲を歌う姿を見ることは叶いませんでしたが
お柩の上に白いドレスを
祭壇の両脇には、ピンクとブルーのドレスをお飾り致しました。

「まだ歌い足りなかっただろう…」

喪主様が挨拶で奥様に語りかけるようにつぶやかれた一言に
皆様、目尻を押さえられました。

「四九日は笑って迎えよう」

「カラオケに行こう」

「一日中カラオケだ」

早すぎる別れを惜しみつつ
皆様の前で笑おうとする姿。

今だけは、奥様を偲び涙することをお許しください。

いつまでもお名残りは尽きないとは存じますが
お別れの時が参りました。

故人様のご冥福を心からお祈り申し上げます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　合掌